コロナ禍のなか、高校演劇の大会が行われるのか気になるところです。石川県の場合、県大会は8月なので、もうそろそろ台本が決定していないとマズい時期ですよね。
というわけで。今日の記事は高校演劇永遠のテーマともいえるこのお題です。
台本って結局、《創作》と《既成》どっちがいいワケ?
大会の審査員も何度か経験していますが、結論から言うと「どちらも同じ」です。(あ!読むのをやめないで!ここからが大事なトコなので。)
「上演が同じレベルなら創作が有利」とか「プロの作品をなぞるのはマイナス」とかも聞きますが、ぶっちゃけ審査員によります。あとはその大会のラインナップによるところも大きいです。創作作品がとても少ない場合は当然《創作》は注目されるでしょうし、荒削りな作品が多い中でプロの作品を丁寧に創った舞台があれば印象もよくなるでしょう。つまり、結局は有利不利ということはないんです。
だったら「自分たちにとってやりやすい方を選ぶ」のがマル。
《創作》のメリット・デメリット・注意点
《創作》はメンバーの個性に合わせて書いていく「当て書き」ができるのが最大のメリットです。いわゆる役作りをしなくて済む分、内容の深いところに向かっていけるわけです。
ゆえに、自分たちがいま抱えている問題(進路とか人間関係とか家庭環境など)をまっすぐに描いた作品のほうが観客の共感を得られやすく、作品の到達点も高くなる傾向があるわけです。逆にファンタジーはなかなか難しいと思います。最近は減ってきましたが、死神や天使、悪魔などが登場する作品に良作なし、というのが私の体感です。これはファンタジーが「何でもあり」なだけに「作者に都合のいい」作品になりがちだからです。
オススメは現実の自分たちをイメージしながら、ほんの少しだけ「ずらす」こと。演劇部内の人間関係を描こうと思ったら、ちょっとずらして吹奏楽部とか、部員の少ない運動部(昔は強かったバレー部とかね)にしてみると、変な生っぽさがなくなり問題をより抽出できるようになります。
《創作》のデメリットは、なんといっても書かなきゃいけないので時間がかかることです。こだわればこだわるほど完成が遅くなり、稽古の時間が削られていきます。私も反省を込めて書きますが、6月半ばのプログラム原稿提出の時に構成はできていたもののセリフは一文字も書けておらず、キャストは自分がどんな役かまったくわからないまま発表されるという状態に陥ったことがあります。「遅筆先生~俺みたいになるな!~」という感じです。
《既成》のメリット、デメリット、注意点
《既成》のメリットは2つ。
・早く選べば稽古時間が多く取れる。
・いい作品を選べばそれだけで作品のクオリティがある程度期待できる。
お気づきでしょうか。既成の場合、「早く選べば」「いい作品を選べば」という条件がつくんですよね。なので当然、どうやっていい作品を早く選ぶかがポイントです。
そこで本屋さんを回ったり、全国大会や中部大会で上演された創作脚本を調べたりということをするわけですが、やはり最近のトピックは「ネット脚本」ですよね。特にここ1~2年はコロナ禍ということもあり、多くの劇団が上演映像を配信したり脚本をネットで無料公開したりしています。
たとえば、このようなサイトがあります。
が、しかし、みなさんにはこちらのほうがなじみが深いかもしれません。
こちらは、「誰でも戯曲を掲載でき誰でも上演申請ができる」というとっても便利なサイトになっています。
が、しかし。「はりトラ」掲載作品はオススメできません!
と言われることがよくあり、私も一部同意します。(もちろんいいのもあるけどね)
このサイトの長所でもある「誰でも掲載できる」というところが逆に欠点ともなっているんです。戯曲のクオリティはまったく保障されておらず、とてもいい作品もあればこればひどいというものもあります。さらに言えば、「一度も上演されていない書きっぱなしの戯曲」さえもあるわけです。これを見極めるのはかなり難しいといえるでしょう。