台本が決まり、キャスティングが決まったら「読み合わせ」をやっていきますよね。
その時にただ何となく読むのではなく、自分のセリフの中で、「情報」のセリフと「感情」のセリフに分けて読んでみてください。
情報のセリフ
・初めて出てくる人名、地名
・実際に舞台上で演じられることのない場面
(「きのう翔太から聞いたんだけど、お前バイト辞めたんだって?」とか)
つまり、これを聞き漏らすとこの後の理解に支障をきたすセリフを「情報」のセリフと呼んでいます。
「情報」のセリフはとにかくクリアに文字情報が観客に伝わるように読まねばなりません。
当然、発声や活舌のクオリティが問われることになります。
現時点での自分の技術ではミスが起こりそうであれば、あえてその部分だけをゆっくり読むなどの工夫も必要になります。
感情のセリフ
・対立
・好悪
これらのセリフは必ずしもクライマックスなどで激しい感情が炸裂する部分だけではありません。ほんのささいな感情の揺れを表現している場合も多くあります。
逆に絶対必要な「情報」のセリフ以外がなぜ存在しているかと言えば、登場人物の感情を表現するためにあるわけです。
つまり「情報」のセリフでなければ、何らかの感情を示していると考えてみましょう。
劇作家からすれば不要なセリフはひとつもない。俳優は劇作家の意図を可能な限り理解し、表現することに努めてください。
たとえば、
「(カバンを持ち)これ、誰の?」
というセリフがある時に、持ち主が誰か知らないとは限りません。知っているのに言っているのかもしれない。だとすればそれはなぜ?誰に、どんな感情を持ってしゃべってるの?というふうに想像をふくらませていくことができます。
さらに言えば、読み合わせから立ち稽古に入った時には、「感情のセリフ」にはノンバーバル(非言語的)コミュニケーションすなわち目線、しぐさ、体の向きなどを使って感情を表現すると効果的です。
ぜひやってみてください。
ぐっといい芝居になると思いますよ!
《2021/7/21作成・2023/1/22改稿》