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発声練習のポイント!

発声練習といえば・・・

まずどこの学校でもこんな感じでしょうか?

・ロングトーン(ハミング、maー、a-、など音を長く伸ばして発声)
・ショート(ha,ha,ha…など短く切って発声)
・文字列(アエイウエオアオとかイエアオウ、とか)
・あめんぼの詩や外郎売(ういろううり)

毎日がんばることで少しすつ大きな声で言えるようになるのだ!

気合が肝心だぞ!!声を鍛えるのだ!!!

・・・って、ウソじゃないとは思うんですけど・・・・

発声練習は技術練習だ

なんとなくみなさん、発声練習って「トレーニング」的なものだと考えてませんか?

筋トレとかランニングなんかと同じ分類というか。

違います。

発声練習は「技術練習」なんです。

上手い人を分析して、まねるべきところを真似れば短期間で技術が向上するんです。

以下、それぞれの練習について「コツ」をお教えしましょう。

①ロングトーン

いきなりですが格言です。

「声はカラダの結果」

声というのは口から出たあとは絶対にコントロールできません。

どんな声が出るか(出せるか)は100%、「口から出る前」に決まっています。

なので、自分がめざすいい声を出すためには、カラダをどうコントロールするかがポイントになります。以下のポイントに注意してやってみましょう。

・足のスタンスはハの字でも平行でも構いませんが、肩幅かそれよりちょっと広く取ります。ヒザは伸ばし切らず少し遊びを持たせるように。

・両手を横に開き、肩甲骨を少し寄せるように意識してそーっと手を降ろしていきます。手を降ろした時の中指がジャージのライン上に来てればだいたいOK。
(逆に中指がラインより前に出ている場合は猫背や巻き肩になっているかも。)

・頭が前に出ないように気をつける。
(特に音を出す瞬間に前に出る「打ち首」に注意)

・呼吸は息を吸った時にお腹周りが膨らみ息を吐くと胸が膨らむ、
いわゆる「腹式呼吸」を心がける。
(「腹式呼吸」という言葉には思うところありますが、それはまた別の機会に)

この4つのポイントに注意してロングトーンをやってみます。この時に大事なのは、

「どんな声が出るかではなく、4つのカラダポイントが上手くできているか」だけに意識を向けることです。

カラダポイントが上手くできれば結果としていい声が出てるはず。逆に、カラダポイントが崩れた時は声は響かず、喉に力が入ってしまっているはずです。

ロングトーンは発声練習において最も大切な基本です!
自分の「声を出すカラダの形」をしっかり把握することがこのあとの練習に生きてきます。

②ショート

ロングトーンでやった姿勢を崩さないように意識します。ショートの時の方が「大きい声」を出したくなるので上半身に力が入って姿勢が崩れやすいので注意してくださいね。

その上で、

・息を吐く(音を出す)時にお腹をへこます意識を持つ。
・喉に力を入れて絞らない。

何といっても「がんばりすぎない」ことが大切です。

ロングトーンと形を変えないで息だけを切る、といったイメージです。

喉に筋が出たりかすれたり痛みが出るときは、必ずいったん止めて上半身の力を抜くこと!

そのやり方では効果が上がらないだけでなく喉を傷める危険性があります。

③文字列

ここからはまさに実践編。「発声練習のための発声練習」にならないことが大事です。

アエイウエオアオやイエアオウなど、文字列は学校によっていろいろだと思いますが、どんな場合でも共通して言えるのは、以下の3点です。

・ロングトーンの姿勢をキープする。
・一音一音しっかり発音する。(音を溶かさない)
・スピードよりも正確さを重視。

「音を溶かさない」というのは、「ア」なのか「エ」なのかはっきりしない音を出さないということです。

演劇部がなんだかわかんない集団に見られるのはこれも一つの原因じゃないかと私は思っています。しっかりはっきりクリアに発音していくと、演劇を知らない人でも少なくとも何を言っているのかはわかります。しかし、音が溶けてしまうと、ただただ不気味な呪文のように聞こえてしまいます。これは気持ち悪い。

そして、音を溶かしていると、なんとなくやってる感だけは出ますが発声練習としてはほぼほぼ意味はありません。あくまでクリアに。これはアメンボとか外郎売、そしてセリフを言う場合でもすべて同じです。

前回もご紹介しましたが、マスクをしたまま発声練習した時に、他の人に自分の声がきちんと聞こえるかはとても重要です。カラダ全体を使って響く音が出せていれば口元が隠れていてもちゃんと聞こえてくれます。

くわしくはこちらの記事をどうぞ。

発声練習がちゃんとできているかどうかを見れば、その学校の「へっぽこ度」がかなりわかります。特に1年生が正しい方法で努力できているかで、半年後、一年後のレベルに大きな差が出ます。

繰り返しますが、

発声練習は技術練習です。

技術は正しい努力で進歩します!

ぜひ試してみてくださいね!

2021.6.2 初出
2021.8.9 編集・再投稿